法人ETCカードの経費処理|勘定科目とカード3種類別の仕訳例、保存するインボイス

※本記事にはプロモーションが含まれます。

法人ETCカードを作ったあと、経理で迷いやすいのが「高速代を何の勘定科目で計上するか」と「請求書に並ぶ出資金や事務手数料をどう扱うか」です。とくに協同組合のETCカードは、通行料金のほかに出資金・カード発行手数料・年間手数料・走行料金の8%の事務手数料が請求され、クレジットカードの明細とは見た目も支払いの時期も違います。

結論から言うと、通行料金は「旅費交通費」で計上する会社が多く、事務手数料や発行手数料は「支払手数料」で分けると管理しやすくなります。一方で、組合に預ける出資金と保証金は経費になりません。脱退や解約のときに戻るお金なので、資産として計上します。

この記事では、法人ETCカードで発生する費用ごとの勘定科目、協同組合型・法人クレジットカードのETCカード・ETCコーポレートカードの3種類それぞれの仕訳例、インボイス(適格請求書)として保存する書類の違いを解説します。

目次

法人ETCカードの費用ごとの勘定科目

法人ETCカードで請求される費用は、経費になるものと、資産として計上するものに分かれます。勘定科目は法令で決まっていないため、下の表は一般的な例です。

費用勘定科目の例経費になるか消費税の確認先
通行料金旅費交通費なるインボイス(請求書・利用証明書)の税額
事務手数料(協同組合型の走行料金の8%)支払手数料なる組合の請求書の区分
カード発行手数料・年間手数料支払手数料なる請求書の区分
賦課金(組合の会費にあたる費用)諸会費なる役務との対価関係で判定
出資金出資金(資産)ならない仕入れではない
保証金差入保証金(資産)ならない仕入れではない

出資金(組合に加入するときに預けるお金)は、ETC協同組合・高速情報協同組合とも1社10,000円で、公式サイトに「脱退時返金」と書かれています。カードを何枚作っても1社1万円のため、加入した年に1回だけ資産に計上し、脱退して返金されたときに取り崩します。

賦課金は、関東通信事業協同組合(KTK)のETCカードで月500円(2年目以降は年額6,000円の一括払い)がかかります。組合に払う会費が消費税の課税仕入れになるかについて、国税庁は「明らかな対価関係があるかどうかによって判定します」としており、組合の通常の運営のための会費は一般的に課税仕入れになりません。請求書に消費税の記載があるかを確かめ、分からなければ組合に問い合わせてください。

通行料金は「旅費交通費」が一般的。社内で一つに決めて続ける

営業や出張で使う高速代は、電車代やタクシー代と同じ「旅費交通費」で計上する例が一般的です。配送や運送が本業で、トラックの走行にかかる費用をまとめて見たい会社では、「車両費」や売上原価の運賃に含める方法もあります。

どの科目を選んでも、大事なのは毎期同じ科目で計上し続けることです。月によって科目が変わると、高速代が増えたのか減ったのかを前年と比べられなくなります。

協同組合型の事務手数料8%は、通行料金に含めて旅費交通費にまとめることもできます。ただ、支払手数料として分けておくと、1年間で手数料にいくら払ったかがすぐに分かり、ETCコーポレートカードや法人クレジットカードのETCカードに切り替えるかを判断する材料になります。事務手数料が走行料金に対してどれくらいの負担になるかは、クレジット機能なしのETCカードの仕組みと事務手数料8%の試算で月額別に計算しています。

カードの種類別の仕訳例

同じ高速代でも、カードの種類によって請求の仕方と引き落としの時期が違います。ここでは月3万円(税込)を走った場合で、3種類のカードの仕訳を並べます。

協同組合型:事務手数料を分け、翌々月の引き落としまで未払金にする

ETC協同組合と高速情報協同組合は、どちらも公式サイトに「月末締め翌月20日頃に請求書公開、翌々月に口座振替」と書かれています。たとえば4月に走った分は、5月20日頃に請求書が出て、6月に引き落とされます。利用した月と支払う月が2か月ずれるため、利用した月の費用として計上し、引き落としまでは未払金にしておきます。

月3万円を走ると、事務手数料は30,000円×8%=2,400円で、請求額は32,400円です。

時期借方貸方
加入時(出資金の振込)出資金 10,000円普通預金 10,000円
カード発行時(2枚・ETC協同組合の場合)支払手数料 1,760円未払金 1,760円
利用した月の末日旅費交通費 30,000円
支払手数料 2,400円
未払金 32,400円
翌々月の口座振替日未払金 32,400円普通預金 32,400円

カード発行手数料はETC協同組合が1枚880円(税込)、高速情報協同組合が1枚550円(税込)で、毎年かかる年間手数料も同じ額です。発行手数料と年間手数料がどの月の請求に入るかは請求書で確かめてください。

月末に請求額がまだ分からない場合は、請求書が公開された時点でまとめて計上する方法もあります。その場合も、決算月に走った分は請求書を待って決算月の費用に入れると、費用の期ずれを防げます。

平日朝夕割引やETCマイレージの還元を組合経由で受ける場合、還元が請求額から差し引かれていれば、差し引いたあとの金額で通行料金を計上します。還元が請求書のどこにどう載るかは組合によって違い、公式サイトに書式の説明はありません。

法人クレジットカードのETCカード:法人カードの引き落としと一緒に処理する

法人クレジットカードに付くETCカードは、通行料金が法人カードの利用分として請求されます。事務手数料はかからないため、仕訳は通行料金だけです。

時期借方貸方
利用した月の末日(または利用日)旅費交通費 30,000円未払金 30,000円
カードの引き落とし日未払金 30,000円普通預金 30,000円

法人カードやETCカードの年会費がかかる場合は、「支払手数料」または「諸会費」で計上します。法人カードの明細を会計ソフトに取り込んでいるなら、ETCの利用分だけ旅費交通費に振り分けるルールを作っておくと、毎月の手作業が減ります。

ETCコーポレートカード:保証金は資産、請求は割引後の金額で計上する

ETCコーポレートカードは、NEXCOから届く後納料金等請求書の金額で計上します。大口・多頻度割引は請求の段階で反映されるため、割引後の請求額が通行料金になります。申し込むときに預ける保証金は、経費ではなく「差入保証金」として資産に計上します。

時期借方貸方
保証金の預け入れ差入保証金普通預金
請求書の利用月の末日旅費交通費(割引後の金額)未払金
支払期限までの振り込み未払金普通預金

NEXCOの取扱手数料(1枚629円)は支払手数料で計上します。協同組合経由で申し込んだ場合は、組合の出資金・賦課金もかかるため、協同組合型と同じく出資金は資産、賦課金は諸会費に分けます。

社員が自分のETCカードで立て替えた場合

法人ETCカードがまだない、または足りないときに社員が個人のETCカードで払った高速代は、精算するときに「旅費交通費/未払金(または現金)」で計上します。精算のときは、どの日にどの区間を何の用事で走ったかを書いた精算書と、次の章で説明する利用証明書を出してもらいます。

インボイスとして保存する書類はカードの種類で違う

NEXCOは、2023年10月1日以降の利用分から、すべての支払い手段でインボイスに対応しています。ただし、何がインボイスになるかはカードの種類によって違います。

(2026年10月時点の各公式サイト記載の内容)

カードの種類インボイスになる書類受け取り方注意点
協同組合型組合が発行するインボイス対応の請求書組合からの請求書(ETC協同組合・高速情報協同組合はWeb明細もあり)3組合とも公式サイトにインボイス対応と記載
法人クレジットカードのETCカードETC利用照会サービスの利用証明書(料金確定後)ETC利用照会サービスに登録し、PDFで発行料金確定前の利用証明書・料金所で受け取る書面は対象外
ETCコーポレートカード後納料金等請求書・総括表・利用明細書NEXCOから郵送組合経由の場合は組合向けの様式

協同組合型の請求書は、ETC協同組合が「2023年10月よりインボイス対応の請求書を発行しております。」、高速情報協同組合が「2023年10月利用分よりインボイス対応の請求書を発行しております。」と公式サイトに書いています。KTKのETCカードも、公式サイトで請求書のインボイス対応を案内しています。協同組合型のカードをETC利用照会サービスに登録できるかは、公式サイトに記載がありません。組合の請求書を保存しておけば足ります。

法人クレジットカードのETCカードでは、NEXCOが「ETCクレジットカードご利用時の適格簡易請求書の交付はETC利用照会サービスにおいて電子での発行となります。」と案内しています。料金が確定した利用証明書には「確」マークが付き、確定前のものには「※料金は確定ではありません」と表示されてインボイスの対象外です。料金所で受け取る利用証明書や、サービスエリアのETC利用履歴発行プリンターの印字も対象外とされています。

ETC利用照会サービスは、カード番号や走行した日の車両番号などを登録して使います。450日間使わないと登録が自動的に取り消されるため、毎月の締めのときに利用証明書をダウンロードする手順を経理の作業に組み込んでおくと安心です。社員が個人のETCカードで立て替えた場合も、同じサービスで確定後の利用証明書を出してもらいます。複数のカードの登録とCSVでの集計はETC利用照会サービスを法人で使うには?で、料金所やSAのプリンターで受け取る証明書との違いはETC利用証明書は法人でどう取る?で解説しています。

経理の手間を減らすなら、明細の出方でカードを選ぶ

車が何台もある会社では、毎月の高速代を「どの車が、何の用事で使ったか」に分けるのが一番手間のかかる作業です。カードを選ぶ段階で、明細がどの単位で出るかを確かめておくと、経理の負担が変わります。

  • KTKのETCカードは「1か月のカード(車両)毎の通行明細」と「営業所ごとの合計表」を出すと公式サイトで案内しており、部署や営業所ごとに費用を分けたい会社に向いています
  • ETC協同組合はWeb明細(識別IDとパスワードは請求書に記載)とWEB請求書を案内しており、紙の請求書を待たずに金額を確かめられます
  • 法人クレジットカードのETCカードは事務手数料がかからず、明細を会計ソフトに取り込めるカードもありますが、インボイスの保存はETC利用照会サービスで別に行います

カードを車と社員にどう割り当て、毎月の明細をどう台帳で確かめるかは、社用車のETCカードの管理台帳と毎月やることで整理しています。4枚の協同組合型カードの費用と条件を並べて比べたい方は、法人ETCカードおすすめ4選の費用比較をご覧ください。

車両ごとの明細を重視するなら、KTKのETCカードの公式サイトで明細の出方を確かめられます。

Web明細とインボイス対応の請求書で月々の確認を済ませたいなら、ETC協同組合の申込ページから資料を取り寄せられます。

法人ETCカードの経費処理でよくある質問

出資金1万円は経費にできますか?

経費にはなりません。出資金は組合を脱退するときに返金されるお金なので、「出資金」として資産に計上します。カードの枚数を増やしても1社1万円のままで、追加の計上は不要です。

クレジットカードの利用明細を保存しておけば足りますか?

NEXCOは、ETCクレジットカードのインボイスをETC利用照会サービスで電子発行すると案内しており、クレジットカード会社の利用明細がインボイスになるとは書いていません。法人クレジットカードのETCカードを使う場合は、料金確定後の利用証明書をETC利用照会サービスからダウンロードして保存するのが原則です。ただし国税庁のQ&Aでは、利用が多く全件の保存が難しい場合に、クレジットカードの利用明細と道路会社ごとの任意の1件の利用証明書をあわせて保存する方法なども示されています。保存を減らせる場合はETCカードのインボイスは利用証明書を全件保存?で解説しています。

私用で走った分はどう処理しますか?

法人の場合、私用の走行分は会社の経費にせず、使った本人に請求して精算します。個人事業主の場合は、事業で使った分だけを経費にし、私用の分は事業主貸として処理します。走行の目的を記録していないと事業用かどうかを説明できないため、明細を確かめるときに用件も書き残しておきます。

まとめ

  • 通行料金は「旅費交通費」で計上する例が一般的です。勘定科目に決まりはないので、一度決めた科目を毎期続けます
  • 協同組合型の事務手数料8%・カード発行手数料・年間手数料は「支払手数料」で分けると、手数料の総額が分かり、カードを見直す材料になります
  • 出資金と保証金は戻ってくるお金なので経費にならず、資産として計上します
  • 協同組合型は翌々月の口座振替のため、利用した月に未払金で計上してから引き落とし日に消し込みます
  • インボイスになる書類は、協同組合型が組合の請求書、法人クレジットカードのETCカードがETC利用照会サービスの確定後の利用証明書、ETCコーポレートカードがNEXCOの後納料金等請求書です

本記事の内容は2026年10月時点で各協同組合・NEXCO・国税庁の公式サイトに記載されている情報をもとにしています。勘定科目と仕訳は一般的な例で、会社の業種や経理方針によって扱いが変わる場合があります。実際の処理は顧問税理士に確認し、手数料や条件は公式サイトで最新情報をご確認ください。

この記事を書いた人

法人ETCカードの費用構造と発行条件を、各発行元の公式サイトにあたって整理しています。年会費の表記だけでは見えない走行料金への手数料、出資金や保証金の扱い、必要書類の細かな違いなど、申し込み前に知っておきたい実務的な情報の提供を重視しています。掲載情報はすべて調査時点を明記し、条件変更を確認しだい記事を更新しています。

目次