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社用車が何台もある会社では、毎月の高速代を車両ごと・部署ごとに集計する作業が経理の負担になりがちです。ETC利用照会サービス(高速道路会社が運営する、ETCカードの通行明細をインターネットで確認できる無料のサービス)を使えば、登録したカードの明細をCSVファイルでまとめて取り出せます。
ただし、法人で何枚ものカードを登録すると、個人で1枚だけ使うときには出てこない決まりにぶつかります。法人クレジットカードのETCカードとETCコーポレートカードは同じユーザーIDに登録できないこと、1枚のカードを複数のIDに重ねて登録できるのはETCコーポレートカードだけであること、協同組合のETCカードは対象カードとして案内されていないこと、などです。
この記事では、ETC利用照会サービスを法人で使うときに登録できるカード、ユーザーIDの分け方、CSVで車両別・締め日別に明細を取り出す手順、CSVの金額が請求額と合わない4つの理由を解説します。インボイスとして保存する利用証明書の扱いは、ETCカードのインボイス(利用証明書の保存を減らせる場合)で、料金所やSAのプリンターで受け取る証明書との違いはETC利用証明書は法人でどう取る?で扱っています。
ETC利用照会サービスに登録できる法人のETCカード
ETC利用照会サービスの対象は、ETCクレジットカード・ETCパーソナルカード・ETCコーポレートカードの3種類です。ETCクレジットカードは「クレジットカード会社が発行する全てのETCカード」とされ、「法人向けカードを含みます」と明記されています。法人クレジットカードに付けたETCカードは登録できます。
(2026年10月時点のETC利用照会サービス記載の内容)
| カードの種類 | 登録 | さかのぼれる期間 | 登録するユーザーID |
|---|---|---|---|
| 法人クレジットカードのETCカード | できる | 15か月 | ETCクレジットカード・ETCパーソナルカード用 |
| ETCパーソナルカード | できる | 15か月 | ETCクレジットカード・ETCパーソナルカード用 |
| ETCコーポレートカード | できる | 62日(走行明細の確認は124日) | ETCコーポレートカード用 |
| 協同組合の法人ETCカード | 対象カードとしての記載がありません | ― | ― |
協同組合のETCカード(ETC協同組合・高速情報協同組合・KTKなどの組合が発行する、クレジット機能のない法人ETCカード)は、対象カードの一覧に挙がっておらず、登録できるかの記載がありません。協同組合型の明細の取り方は、後の見出しで説明します。
なお、ETCマイレージサービスとは別のサービスです。マイレージのIDとパスワードではログインできず、別に登録が必要です。
登録に必要な5つの情報と、まだ走っていないカードの扱い
新規登録とカードの追加登録では、本人確認のために次の5つを入力します。
- メールアドレス
- ETCカード番号
- そのカードでETC無線通行(ETCレーンをカードを入れたまま通過)した日(任意の1日)
- そのとき乗っていた車の車載器管理番号(車載器ごとに付いている19桁の番号)
- その車の車両番号の下4桁
入力した日に実際に通行していることで本人確認をするため、一度もETCレーンを通っていないカードは登録できません。新しく作ったカードは、まず高速道路を1回通ってから登録します。料金所でカードを手渡して精算した日や、料金精算機で精算した日は、登録に使えません。
入力できる通行日は、ETCクレジットカード・ETCパーソナルカードは登録する日の過去15か月以内、ETCコーポレートカードは過去62日以内です。コーポレートカードは期限が短いので、カードが届いて走り始めたら早めに登録します。
車載器管理番号は、車載器のセットアップ証明書などで確かめます。ETCコーポレートカードでは、分からなければ会社や加入している協同組合の大口・多頻度割引の担当者に確認するよう案内されています。
法人クレジットカードのETCカードを1枚で複数の車に使っている場合も、登録に使う車はそのカードで通ったどの車でもかまいません。登録後は、登録した車以外で使った通行も、そのカード番号の明細として表示されます。車を入れ替えて車載器を移した場合も、カード番号が変わらなければ登録の変更は要りません。
登録してから明細が表示されるまで、ETCクレジットカード・ETCパーソナルカードは4時間程度かかります。ETCコーポレートカードは本登録の完了後すぐに使えます。
ユーザーIDの分け方は3つの決まりで考える
カードが何枚もある会社が最初に迷うのは、ユーザーIDをいくつ作り、どのカードをどのIDにまとめるかです。ETC利用照会サービスの決まりのうち、IDの分け方に関わるのは次の3つです。
1. 法人クレジットカードのETCカードとETCコーポレートカードはIDを分ける
ETCクレジットカード・ETCパーソナルカード用のIDと、ETCコーポレートカード用のIDは別です。一方のIDにもう一方のカードを追加登録することはできません。両方のカードを使う会社は、最低2つのIDを持つことになります。
2. 1つのIDに登録できるのは最大1,000枚
1つのユーザーIDに最大1,000枚まで登録できます(2025年11月18日から。それまでは10枚)。1,000枚を超える場合は新しくIDを取り、たとえば1,700枚なら1,000枚と700枚に分けます。同じメールアドレスで複数のIDを取ることもできます。
3. 1枚のカードを複数のIDに登録できるのはETCコーポレートカードだけ
ETCクレジットカード・ETCパーソナルカードは、1枚のカードを1つのIDにしか登録できません。ETCコーポレートカードは、1枚のカードを10個のIDまで重ねて登録できます。
この違いで、部署や営業所ごとに明細を見たいときの組み方が変わります。
(2026年10月時点のETC利用照会サービス記載の内容をもとにした組み方の例)
| 見たい単位 | 法人クレジットカードのETCカード | ETCコーポレートカード |
|---|---|---|
| 会社全体(経理がまとめて見る) | 全カードを1つのIDに登録する | 全カードを経理用のIDに登録する |
| 営業所ごと | 経理用のIDで、営業所のカード番号を選んで検索・出力する | 経理用のIDに加え、営業所用のIDにもその営業所のカードを重ねて登録する |
| 営業所ごとにIDを分けた場合の経理 | 営業所ごとのIDにそれぞれログインする必要がある | 経理用のIDだけで全カードを見られる |
法人クレジットカードのETCカードは重ねて登録できないため、経理が会社全体の明細をまとめて取りたいなら、IDを1つにまとめておくほうが毎月の作業が少なくなります。営業所ごとの明細は、検索条件でカード番号を複数選んで取り出せます。
担当者が替わっても止まらない登録の仕方
法人の登録は、登録した社員が異動や退職をしたあとも使い続けます。IDを個人の持ち物にしないために、次の4点を決めておきます。
- メールアドレスは部署の共用アドレスにする:仮登録の完了・ユーザーIDのお知らせ・パスワード再設定・ご利用確認のお知らせなどは、登録したメールアドレスに届きます。担当者が替わったときは、ログイン後の「ユーザー情報変更」でメールアドレス・ユーザーID・パスワードを変えられます
- 450日ログインがないと自動で解約される:420日ログインがない時点で「ご利用確認のお知らせ」がメールで届き、ログインすれば登録は続きます。毎月の集計で使っていれば問題になりませんが、年に1回しか見ない営業所のIDは注意が必要です
- カードを削除・解約する前に明細を出力する:紛失などの理由でカードを削除・解約すると、そのカードを再び登録できない場合があると案内されています。必要な期間の明細を先に出力しておきます
- カード番号が変わったら追加登録する:カードの更新や再発行で番号が変わった場合は、新しい番号を追加登録し、使わなくなった番号を削除します。新しいカードも、一度ETCレーンを通ってから登録します
どのカード番号をどの車・社員に割り当てたかは、ETC利用照会サービスの外で控えておく必要があります。台帳の項目と毎月の作業は、社用車のETCカード管理(台帳の項目と毎月・毎年やること)で解説しています。
CSVで明細を取り出す手順
利用明細のCSVは、次の順番で出力します。
- ユーザーIDとパスワードでログインする(登録したカードが11枚以上だと、先に「利用明細検索」の画面が表示される。10枚以下ならすぐに利用明細の画面になる)
- 「検索条件の指定」で、期間・カード番号(複数選べる)・車両番号・区切り日を指定して検索する
- 出力したい明細のチェックボックスを選ぶ(すべて出力するなら選ばなくてよい)
- 「利用明細CSV出力」のボタンを押す
検索条件を指定したあとに「この条件を記憶する」を押すと、次回から利用年月日以外の条件が保たれます。毎月同じ条件で取り出すなら、最初に設定しておくと手間が減ります。
会社の締め日に合わせて取り出す
検索条件で「区切り日」を指定すると、1日〜月末以外の期間で月ごとの明細を表示できます。たとえば20日区切りにすると、「4月分」として3月21日〜4月20日の明細が表示されます。経費精算を20日締めにしている会社は、締め日とそろえて出力できます。
車両ごとに分けて取り出す
車両番号で検索できるのは、ETC無線走行の明細だけです。検索条件の「走行区分」を「ETC無線走行のみ」にし、車両番号を入れて検索します。
料金所でカードを手渡して精算した通行は、明細に車両番号が表示されないため、車両番号で検索すると出てきません。レーンの閉鎖や車載器の故障で手渡し精算になった通行が漏れないよう、車両ごとの集計の合計を、カード番号で検索した全件の合計と月に一度突き合わせておくと安心です。
一度に出力できる件数と、カードが多いときの期間
一度に出力できる件数は、カードの種類で違います。超える場合は、期間やカードを分けて複数回に分けて出力します。
(2026年10月時点のETC利用照会サービス記載の内容)
| 出力するもの | ETCクレジットカード・ETCパーソナルカード | ETCコーポレートカード |
|---|---|---|
| 利用明細(CSV) | 一度に5,000件まで | 一度に50,000件まで |
| 利用明細(PDF) | 一度に500件まで | 一度に1,500件まで |
| 利用証明書(PDF) | 一度に1,000件まで | 一度に500件まで |
カードの枚数が多い会社は、検索する期間にも注意します。表示の対象にするカードが100枚を超える場合は、利用年月日の期間を2か月以内にするよう案内されています。101枚以上を対象に連続する2か月を超える期間を指定すると、明細の検索もCSVの出力もできません。カードが多い会社は、月ごとに出力する運用にしておきます。
明細に表示される項目
利用明細の画面には、利用年月日時分、利用IC(入口・出口)、割引前料金、ETC割引額、通行料金、還元額適用料金(ETCマイレージの還元額で払った金額)、後納料金(カードで後払いした金額)、車種(番号で表示)、備考などが表示されます。CSVの列の並びはQ&Aに説明がないため、初めて出力したときに自社の集計表のどの列に当たるかを対応づけておきます。
CSVの金額が請求額と合わない4つの理由
ETC利用照会サービスの金額は、カード会社やNEXCOから届く請求額とそのまま一致するとは限りません。集計した金額が合わないときは、次の4つを確かめます。
1. 確定前の「確認中」の料金が混じっている
割引の適用や料金の確認が終わるまで、明細には割引前の料金や確認中の料金が表示され、備考欄が「確認中」になります。月末に利用した分は翌月12日ごろに「確定」になる目安で、前月分をすぐに出力すると確認中の金額が混じります。確定の時期の詳しい目安は、ETCカードのインボイスの記事にまとめています。
2. ETCコーポレートカードは大口・多頻度割引の前の料金で表示される
ETCコーポレートカードの明細は、一部の割引や料金調整が反映されず、調整前の料金で表示されます。月間の通行料金の合計も大口・多頻度割引を適用する前の金額で、「実際の請求額とは異なります」と案内されています。請求額は、NEXCOなどから届く請求書と利用明細書で確かめます。
3. 平日朝夕割引は通行料金から引かれず、還元額として後から付く
平日朝夕割引の時間帯の通行には、料金の確定後に備考欄へ「(朝夕)」と表示されます。この割引は通行料金から差し引かれるのではなく、月の対象回数に応じてETCマイレージサービスの還元額として後から付きます。月の対象回数が5回に満たず、結果として割引を受けられない通行にも「(朝夕)」は表示されます。なお、これはETCクレジットカード・ETCパーソナルカードの場合で、ETCコーポレートカードの平日朝夕割引は還元ではなく、割引後の料金で請求されます。
4. 割引前料金とETC割引額の欄はNEXCO分だけ
割引前料金とETC割引額は、当面の間、NEXCOの通行だけに表示されます。首都高速や阪神高速などの通行は、この2つの欄で割引額を集計できません。割引の効果を道路ごとに比べたい場合は、通行料金の列を基準にします。
ETCコーポレートカードは62日分しか残らないので毎月保存する
ETCクレジットカード・ETCパーソナルカードは15か月前まで明細をさかのぼれますが、ETCコーポレートカードは利用証明書が過去62日間、走行明細の確認も過去124日間までです。62日より前の明細は、ETC利用照会サービスでは確認できません。
NEXCOのETCコーポレートカード利用案内書には、1か月分の走行明細データをWEBで提供するサービス(1回770円(税込))が載っていますが、毎回費用がかかります。ETC利用照会サービスで、毎月の締めのあとにCSVを出力して保存しておくのが確実です。大口・多頻度割引を反映した実質の割引率は、ETCコーポレートカードの割引率の早見表で確かめられます。
協同組合のETCカードは組合の明細で集計する
協同組合のETCカードは、ETC利用照会サービスの対象カードに挙がっていないため、毎月組合から届く請求書と明細で集計します。3つの組合の公式サイトには、明細の受け取り方として次の内容が載っています。
(2026年10月時点の各組合の公式サイト記載の内容)
| カード | 明細の受け取り方 |
|---|---|
| ETC協同組合 | Web明細(識別IDとパスワードは請求書の左下に記載)、WEB請求書(楽楽明細) |
| 高速情報協同組合 | WEB明細サービス(楽楽明細) |
| KTK ETCカード | カード(車両)ごとの1か月の通行明細、営業所ごとの合計表 |
協同組合型は、組合が明細をまとめて請求するため、カードごとにETC利用照会サービスへ登録する作業がありません。その一方で、明細をどの形式で受け取れるか(CSVなどのデータで取り出せるか)は、自社の集計方法に合うかを申し込み前に組合に確かめておきます。
協同組合型には、出資金や走行料金の8%の事務手数料などの費用がかかります。4枚のカードの費用と条件を並べて比べたい方は、法人ETCカードおすすめ4選の費用比較をご覧ください。
Web明細とWEB請求書(楽楽明細)で毎月の明細を確かめたいなら、ETC協同組合の申込ページから資料を取り寄せられます。
カード発行手数料と年間手数料を1枚550円に抑えたいなら、高速情報協同組合の公式サイトで条件を確かめられます。
車両ごとの明細と営業所ごとの合計表で集計したいなら、KTK ETCカードの公式サイトで発行の条件を確かめられます。
ETC利用照会サービスの法人利用でよくある質問
利用に費用はかかりますか?
かかりません。インターネットの通信費と、利用証明書や明細を印刷する費用は利用者の負担です。メンテナンスの時間を除き、24時間365日使えます。
利用明細や利用証明書は領収書の代わりになりますか?
ETC利用照会サービスは、道路事業者と利用者の間に直接の現金のやり取りがないため、領収書は発行しないと案内しています。印刷した明細や利用証明書を領収書の代わりとするかは、取引する当事者どうしで決める事柄とされています。社内の経費精算でどう扱うかは、経理規程で決めておきます。
15か月より前の明細は見られますか?
見られません。ETCクレジットカード・ETCパーソナルカードは、カードの発行会社の利用明細で確かめます。決算や税務調査で使う可能性がある明細は、15か月を過ぎる前にCSVやPDFで出力して保存しておきます。
まとめ
- ETC利用照会サービスには、法人クレジットカードのETCカード・ETCパーソナルカード・ETCコーポレートカードを登録できます。協同組合のETCカードは対象カードとしての記載がありません
- 登録には、そのカードで一度ETCレーンを通った日と、その車の車載器管理番号・車両番号の下4桁が必要です。新しいカードは1回走ってから登録します
- 法人クレジットカードのETCカードとETCコーポレートカードはIDを分けます。1つのIDに最大1,000枚まで登録でき、1枚を複数のIDに重ねて登録できるのはETCコーポレートカード(10個まで)だけです
- CSVは区切り日で締め日に合わせ、車両番号で車両ごとに取り出せます。手渡し精算の通行は車両番号の検索では出てこないため、カード番号の全件と突き合わせます
- CSVの金額が請求額と合わないのは、確認中の料金、コーポレートカードの大口・多頻度割引前の表示、平日朝夕割引の後からの還元、NEXCO以外の割引欄の空欄の4つが主な理由です
- ETCコーポレートカードは62日分しか残らないため、毎月CSVを出力して保存します
本記事の内容は2026年10月時点でETC利用照会サービス・NEXCO・各協同組合の公式サイトに記載されている情報をもとにしています。画面の操作や出力の上限は変わることがあるため、手数料や条件は公式サイトで最新情報をご確認ください。
