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社員が出張で高速道路を使ったとき、経理から「ETC利用証明書を出してください」と求められることがあります。取引先に高速代を実費で請求するときや、消費税の仕入税額控除のために書類を保存するときにも、1回ごとの通行を示す書類として利用証明書が使われます。
利用証明書を受け取れる場所は、料金所・SA/PAのプリンター・ETC利用照会サービスの3つです。ただし、3つは同じ書類ではありません。インボイス(適格簡易請求書)として使えるのは、ETC利用照会サービスで料金が確定したあとに発行したものだけで、料金所とプリンターのものは割引前の金額が載ることもあります。また、ETC利用照会サービスで発行した利用証明書は、記載された取扱番号を使って、カードを持っていない経理担当者や取引先でも通行の記録を確かめられます。
この記事では、利用証明書の3つの取り方の違い、ETC利用照会サービスでの発行手順と証明書の見方、受け取った利用証明書を取扱番号で確かめる方法、用途別の使い分け、法人ETCカードの種類別に取れる書類を解説します。インボイスとして保存する件数を減らす方法は、ETCカードのインボイス(利用証明書の保存を減らせる場合)で扱っています。
ETC利用証明書は「1回の通行」を示す書類
ETCレーンを通っても、その場で領収書は出ません。利用証明書は、いつ、どの料金所からどの料金所まで、いくらで通行したかを1回ごとに示す書類です。高速道路会社の供用約款(道路の利用条件を定めた規則)にも、料金所とETC利用照会サービスで利用証明書を発行することが定められています。
利用証明書は領収書とは扱いが違います。ETC利用照会サービスは、道路事業者と利用者の間に直接の現金のやり取りがないため領収書は発行しないと案内しており、利用証明書を領収書の代わりとするかは取引する当事者どうしで決める事柄としています。社内の経費精算でどう扱うかは、経理規程で決めておきます。
利用証明書の取り方は3つ。違いは料金が確定しているかどうか
3つの取り方は、受け取れるタイミングと、載る金額が違います。料金所とプリンターはその場で受け取れる代わりに、料金が確定する前の金額です。ETC利用照会サービスは、料金が確定してから発行できます。
(2026年11月時点の各高速道路会社・ETC利用照会サービスの公式サイト記載の内容)
| 項目 | 料金所 | SA・PAのプリンター | ETC利用照会サービス |
|---|---|---|---|
| 受け取るとき | 通行したその場(出口の係員) | SA・PAに立ち寄ったとき | 走行後いつでも(パソコン・スマートフォン) |
| 事前の準備 | 不要 | 不要(ETCカードを持っていく) | 利用者登録が必要 |
| さかのぼれる範囲 | その通行だけ | カードに記録された最大100件程度 | 過去15か月(ETCコーポレートカードは62日) |
| 載る金額 | 平日朝夕割引・ETCマイレージ・大口・多頻度割引は反映されない | 割引適用前の金額が載る場合がある | 確定後は確定した通行料金 |
| インボイス | 対象外 | 対象外 | 確定後のものは対象(ETCクレジットカードのみ) |
| 受け取れない場合 | スマートIC・ETC専用の料金所 | 立ち寄ったSA・PAまでの走行 | 一度もETCレーンを無線で通っていないカード |
1. 料金所でもらう
NEXCO東日本の案内では、入口はETCレーンを通り、出口で「ETC/一般」か「一般」の表示があるレーンに入って、係員にETCカードを渡して利用証明書が欲しいと伝えます。東京外環道のように入口で料金を払う料金所では、入口で申し出ます。レーンの表示は料金所によって違うため、現地の案内に従います。
料金所でもらうときの注意点は3つあります。
- 証明書の金額には、平日朝夕割引・ETCマイレージサービス・大口・多頻度割引の割引が反映されません
- スマートICやETC専用のインターチェンジでは発行されません(料金精算機で払った場合を除きます)。外環道のETC専用料金所でも発行できないと案内されています
- 供用約款では、領収書と利用証明書は「いかなる場合であっても再発行しません」と定めています。受け取った紙はその日のうちに経理へ回すか、スキャンして保管します
また、係員にカードを手渡して精算した通行は、ETCレーンを無線で通った扱いになりません。ETC利用照会サービスで車両番号を指定して明細を検索しても、この通行は表示されず、明細にも車両番号が載りません。車両ごとに高速代を集計している会社では、手渡しで精算した分をカード番号の明細から拾い直します。
2. SA・PAのETC利用履歴発行プリンターで印刷する
NEXCO東日本・中日本・西日本、首都高速、阪神高速、本州四国連絡高速道路は、主なSA・PAのインフォメーションなどに「ETC利用履歴発行プリンター」を置いています。ETCカードのICチップを上にして差し込み、「戻」「進」のボタンで通行を選んで「印」を押すと、カードに記録された利用履歴を利用明細書として印刷できます。阪神高速は無料で印刷できると案内しています。
カードに残る履歴は最大100件程度で、それより前の通行は印刷できません。立ち寄ったSA・PAまでの走行は料金が確定していないため印刷できず、印刷した明細書には割引適用前の金額が載る場合があります。インボイスの要件も満たしません。
事業所で同じことをしたい場合は、ETCカードの履歴を読み取る卓上プリンターや、車載器につなぐ車載用プリンターが市販されています。ETC総合情報ポータルサイトは、卓上プリンターを「事業所などの車両管理上、利用履歴が必要な場合に便利」と紹介しています。これらで印刷した明細書もインボイスの対象外です。
3. ETC利用照会サービスで発行する
ETC利用照会サービス(高速道路会社が運営する、ETCカードの通行明細をインターネットで確認できる無料のサービス)では、登録したカードの通行ごとに利用証明書をPDFで発行できます。料金が確定したあとの利用証明書は、適格簡易請求書(簡易インボイス)になります。ETCを使った通行でインボイス対応の証明書を出せるのは、ETC利用照会サービスだけと案内されています。
利用者登録には、そのカードで一度ETCレーンを無線で通った日と、その車の車載器管理番号・車両番号が必要です。登録の手順と、カードが多い会社のユーザーIDの分け方は、ETC利用照会サービスを法人で使う方法(IDの分け方とCSV出力)で扱っています。
ETC利用照会サービスでの発行手順と、証明書の見方
発行は3つの操作で終わる
- ログインして利用明細を表示する(登録したカードが11枚以上なら、検索画面で期間やカード番号を指定する)
- 証明書にしたい通行のチェックボックスを選ぶ(すべての通行を発行するなら選ばなくてよい)
- 「利用証明書発行」のボタンを押し、表示されたPDFを保存する
一度に発行できるのは1,000件まで(ETCコーポレートカードは500件まで)です。印刷回数に制限はなく、社内にプリンターがなければコンビニのプリントサービスでも印刷できます(印刷料金は利用者の負担)。Google ChromeでPDFが正しく表示されない事象も案内されており、その場合はMicrosoft Edgeなど別のブラウザで開くよう案内されています。
確定前に出した証明書はインボイスにならない
通行した直後は料金が確定しておらず、その状態で発行した利用証明書の下部には「※通行料金は確定しておりません。」と表示されます。料金が確定すると、確定を示す「確」のマークと、利用した道路会社の適格請求書発行事業者の登録番号が表示されます。確定までの目安は次のとおりです。
(2026年11月時点のETC利用照会サービス記載の内容)
| 利用した日 | 料金が確定する目安 |
|---|---|
| 1日〜7日 | 当月20日ごろ |
| 8日〜15日 | 当月27日ごろ |
| 16日〜25日 | 翌月7日ごろ |
| 26日〜月末 | 翌月12日ごろ |
目安は月の日数やシステムの稼働状況で前後します。月末締めで高速代を精算する会社なら、前月分の利用証明書は翌月12日ごろより後に発行すると、確定したものがそろいます。
料金所でもらう証明書と比べて載っている項目
ETC利用照会サービスの利用証明書は、料金所でもらう利用証明書と比べて、車種が数字で表示される点と、確定後に「確」のマークが付く点が違います。ETCマイレージサービスの還元額を使った通行には「還元額利用」と表示され、空港連絡橋利用税のように消費税がかからない金額が含まれる場合は、その範囲が分かるように記載されます。
証明書には、Aで始まる18桁の「取扱番号」が記載されます(ETCコーポレートカードはBで始まる18桁)。この番号が、次に説明する確かめ方で使う番号です。
受け取った利用証明書は取扱番号で確かめられる
ETC利用照会サービスには、利用証明書に書かれた利用年月日と取扱番号を入力すると、その通行の明細が表示される「利用実績の確認」という機能があります。利用規程では、明細の表示や利用証明書の発行はカードの発行を受けた人が使う目的に限られていますが、利用実績の確認はその限りではないと定められています。手順は利用規程への同意・検索・確認の3段階で、ログインの段階はありません。
法人では、次の2つの場面で使えます。
- 社員が立て替えた高速代の精算で、提出された利用証明書のPDFの通行が実際にあったかを経理が確かめる
- 取引先に高速代を実費で請求するときに、相手が取扱番号で通行の記録を確かめられることを伝える
確かめられる期間は、ETCクレジットカード・ETCパーソナルカードの証明書が15か月前まで、ETCコーポレートカードの証明書が124日前までです。また、割引や料金の調整の対象になる通行は、料金が確定した段階で取扱番号が変わることがあります。確かめるのに使うなら、確定後に発行した利用証明書を提出してもらいます。
用途別に、どの取り方を使うか
経理に回す書類は、ほとんどの場面でETC利用照会サービスの確定後の利用証明書が向いています。料金所とプリンターは、その日の通行をすぐ確かめたいときに使います。
| 用途 | 使う取り方 | 理由 |
|---|---|---|
| 消費税の仕入税額控除のために保存する | ETC利用照会サービス(確定後) | 料金所とプリンターの証明書はインボイスの対象外 |
| 社員の立替精算 | ETC利用照会サービス(確定後) | 経理が取扱番号で通行を確かめられる |
| 取引先への高速代の実費請求 | ETC利用照会サービス(確定後) | 確定した金額で請求でき、相手も取扱番号で確かめられる |
| その日の通行をすぐ確かめる | SA・PAのプリンター、料金所 | 登録なしでその場で受け取れる。金額は割引前の場合がある |
社員の個人のETCカードで立て替えてもらう運用では、社員が自分でETC利用照会サービスに登録し、証明書を発行して提出する流れになります。社員用のカードをそろえる方法と立替精算の比べ方は、社員用ETCカードを複数枚そろえる3つの方法をご覧ください。
法人ETCカードの種類別に取れる書類
ETC利用照会サービスで利用証明書を発行できても、インボイスの要件を満たすのはETCクレジットカードの確定後の証明書だけです。ほかのカードは、別の書類をインボイスとして保存します。
(2026年11月時点のETC利用照会サービス・NEXCO・各協同組合の公式サイト記載の内容)
| カードの種類 | ETC利用照会サービスの利用証明書 | インボイスとして保存する書類 |
|---|---|---|
| 法人クレジットカードのETCカード | 発行できる。確定後はインボイス対応 | 確定後の利用証明書 |
| ETCコーポレートカード | 発行できるが、インボイスの要件は満たさない | NEXCOの後納料金等請求書・利用明細書 |
| ETCパーソナルカード | 発行できるが、インボイスの要件は満たさない | 月1回の「ご利用料金のお知らせ」 |
| 協同組合のETCカード | 対象カードとしての記載がない | 組合のインボイス対応の請求書 |
協同組合のETCカードは、毎月組合から届く請求書がインボイスに対応しているため、通行ごとに利用証明書を取り出す作業がありません。KTK(関東通信事業協同組合)は「当組合からの請求書のみで会計処理(仕入税額控除)を行うことができます」と案内しています。1回ごとの通行は、組合のWeb明細や請求書の通行明細で確かめます。なお、SA・PAのプリンターの案内には、カードの種類によって使えないという記載はありません。
高速代の勘定科目と、カードの種類ごとのインボイスの書類の詳細は法人ETCカードの経費処理で扱っています。協同組合型には出資金や走行料金の8%の事務手数料などの費用がかかるため、4枚のカードの費用と条件を並べて比べたい方は法人ETCカードおすすめ4選の費用比較をご覧ください。
組合の請求書とWEB請求書(楽楽明細)で毎月の高速代をまとめて処理したいなら、ETC協同組合の申込ページから資料を取り寄せられます。
カード発行手数料と年間手数料を1枚550円に抑えたいなら、高速情報協同組合の公式サイトで条件を確かめられます。
組合の請求書だけで仕入税額控除の処理を済ませ、車両ごとの通行明細で管理したいなら、KTK ETCカードの公式サイトで発行の条件を確かめられます。
ETC利用証明書でよくある質問
料金所でもらった利用証明書をなくしたら、再発行できますか?
できません。供用約款で、領収書と利用証明書は再発行しないと定められています。ETCクレジットカードで払った通行なら、ETC利用照会サービスに登録すれば、通行から15か月以内の利用証明書を発行できます。
社員の個人のETCカードの分を、会社のユーザーIDで発行できますか?
利用規程では、明細の表示と利用証明書の発行は、ETCカードの発行を受けた人が使う目的に限られています。また、ETCクレジットカードは1枚を1つのユーザーIDにしか登録できません。社員の個人カードの分は社員本人が登録して発行し、会社に提出してもらいます。提出された証明書は、取扱番号で確かめられます。
ETCを使わずに現金で払ったときは、何が出ますか?
料金所の係員か料金精算機から、適格簡易請求書の要件を満たした領収書が出ます。ETCカード以外のクレジットカードで払った場合は、同じく要件を満たした利用証明書が出ます。どちらも、ETC利用照会サービスでは発行できません。
まとめ
- ETC利用証明書の取り方は、料金所・SA/PAのプリンター・ETC利用照会サービスの3つです
- 料金所とプリンターはその場で受け取れますが、割引前の金額が載ることがあり、インボイスの対象外です。料金所の証明書は再発行されず、スマートICやETC専用の料金所では発行されません
- ETC利用照会サービスの利用証明書は、料金が確定して「確」のマークと道路会社の登録番号が付いたものがインボイスになります。月末締めなら前月分は翌月12日ごろより後に発行します
- 利用証明書の取扱番号と利用年月日を入れると、カードを持っていない経理担当者や取引先でも通行の記録を確かめられます
- インボイスになる利用証明書が出るのはETCクレジットカードだけです。ETCコーポレートカードはNEXCOの請求書、協同組合のETCカードは組合の請求書を保存します
本記事の内容は2026年11月時点でETC利用照会サービス・NEXCO各社・阪神高速・各協同組合の公式サイトに記載されている情報をもとにしています。発行の方法や確定の目安は変わることがあるため、手数料や条件は公式サイトで最新情報をご確認ください。
