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社用車の高速料金を経費で払いたいけれど、法人クレジットカードは持ちたくない——そんなときの選択肢がクレジット機能なしの法人ETCカードです。協同組合が発行しており、高速道路料金の支払いに用途を限定したカードとして運用できます。
ただし「クレジット機能がない」ことは、メリットにもデメリットにもなります。とくに見落とされやすいのが、年会費とは別にかかる走行料金への事務手数料と、複数枚発行するときの出資金の扱いです。この2つを知らずに選ぶと、想定していた年間コストと大きくずれることがあります。
この記事では、クレジット機能なし法人ETCカードの仕組みを整理したうえで、メリット・デメリットと代表的な4枚を解説します。
クレジット機能なしの法人ETCカードとは
協同組合が高速道路料金をいったん立て替え、組合員である会社へ翌月以降に請求する仕組みのカードです。支払いは口座振替で、カード自体にショッピング機能は付いていません。
高速情報協同組合は「クレジット機能を必要としないETC専用のカード」「クレジット機能が無いから安心」と説明しており、関東通信事業協同組合のKTK ETCカードも「クレジット機能のない法人向け後払い方式のETC専用カード」と案内しています。
法人クレジットカード付帯のETCカードとの違い
| 項目 | クレジット機能なし(協同組合発行) | クレジットカード付帯 |
|---|---|---|
| 発行元 | 協同組合(ETCコーポレートカードはNEXCO) | クレジットカード会社 |
| 使える範囲 | 高速道路料金の支払いのみ | ETC利用に加え、本体カードで各種決済 |
| 入会時に必要な費用 | 出資金(脱退時に返金される組合が多い) | 原則不要(年会費はカードによる) |
| 継続してかかる費用 | カード手数料+走行料金への事務手数料 | 年会費(ETCカード年会費が別途かかる場合あり) |
| 与信枠 | 使わない | 本体カードの利用枠を消費する |
| 発行枚数 | 車両台数に応じて増やしやすい | 契約者ごとに上限があることが多い |
いちばん大きな違いは費用のかかり方です。クレジットカード付帯は年会費という固定費ですが、協同組合のカードは走行料金に比例して事務手数料がかかるため、使うほど負担が増えます。「年会費無料」のカードを比べるときの注意点は法人ETCカードは年会費無料で選んでいい?で解説しています。
クレジット機能なしを選ぶメリット
①用途が高速道路料金に限定される
ショッピングに使えないということは、裏を返せば目的外の支出が発生しないということです。従業員に貸与しても、高速道路以外で使われる心配がありません。経費精算の突合作業も、高速料金だけを見ればよくなります。1枚を複数の車や社員で使い回すときのルールは法人ETCカードの使い回しはできる?で解説しています。
②紛失・盗難時の被害範囲が限定される
クレジット機能がないため、第三者に渡っても高速道路の通行以外には使えません。カードを複数の車両に置いたまま運用する場合、この差は小さくありません。ETC協同組合は「ETCカード紛失届」の書式を用意しており、紛失時の手続きが定められています。
③本体カードの与信枠を消費しない
法人クレジットカード付帯のETCカードは、高速料金も本体カードの利用枠から支払われます。高速道路の利用が多い会社では、仕入れや広告費に使いたい枠を圧迫することがあります。クレジット機能なしのカードは与信枠とは別建てで運用できます。
④複数枚に増やしても出資金は増えない
意外と知られていませんが、出資金は1社あたりの金額であり、カードの枚数分かかるわけではありません。ETC協同組合は「複数枚カードを発行しても1社/1万円で大丈夫です」と明記しています。高速情報協同組合も「法人ETCカードと法人ガソリンカードを併用した場合でも1社/1万円のお預りとなります」と案内しています。
枚数を増やしたときに増えるのは、カード1枚あたりの発行手数料と年間手数料です。車両台数が多い会社ほど、この1枚あたりの単価差が効いてきます。枚数別の年間費用は法人ETCカードは複数枚作れるで計算しています。
デメリットと注意点
①走行料金に対する事務手数料がかかる
最も注意したい点です。高速情報協同組合・ETC協同組合ともに、毎月の走行料金に対して8%の事務手数料がかかると公式サイトに記載しています。通行料金・事務手数料・出資金をそれぞれどの勘定科目で計上するかは法人ETCカードの経費処理で解説しています。
- 月5万円の利用 → 事務手数料4,000円/月(年48,000円)
- 月10万円の利用 → 事務手数料8,000円/月(年96,000円)
- 月30万円の利用 → 事務手数料24,000円/月(年288,000円)
「年会費無料」という表記だけを見て選ぶと、この負担を見落とします。比較すべきは年会費ではなく年間の総額です。深夜割引などを受けたあとの実質の負担は法人ETCカードの割引は実質何%?で計算しています。
②高速道路料金以外には使えない
管理面ではメリットですが、支払いをまとめたい会社にとっては制約です。ガソリン代や消耗品まで1枚にまとめたい場合は、法人クレジットカードのほうが適しています。
③入会時にまとまった費用が必要
出資金として1万円程度の預け入れが必要です。高速情報協同組合とETC協同組合は脱退時に返金されると案内していますが、KTK ETCカードとETCコーポレートカードは、出資金に加えて保証金の預け入れが原則必要とされています。保証金の金額は公式サイトに記載がないため、申し込み時の確認が必要です。
④やめるときは脱退手続きが必要
クレジットカードの解約と違い、組合からの脱退という形をとります。出資金の返金もこの手続きに紐づくため、導入前に脱退の条件を確認しておくと安心です。
クレジット機能なし法人ETCカード4選
(2026年9月時点の各公式サイト記載の内容)
| カード(発行元) | カードの費用・会費 | 事務手数料 | 入会時の預け入れ | 発行までの期間 |
|---|---|---|---|---|
| 法人ETCカード(高速情報協同組合) | 発行手数料550円+取扱手数料550円(年1回) | 走行料金の8% | 出資金10,000円/1社(脱退時返金) | 書類到着後10日程度(申込ページでは最短翌営業日に発送と案内) |
| 法人ETCカード(ETC協同組合) | 発行手数料880円+年間手数料880円 | 走行料金の8% | 出資金10,000円/1社(脱退時返金) | 最短で翌営業日に発送 |
| KTK ETCカード(関東通信事業協同組合) | 賦課金(組合の会費にあたる費用)1社 月500円(2年目以降は年6,000円一括) | 公式サイトに記載なし | 出資金1口10,000円+保証金(原則) | 約3週間 |
| ETCコーポレートカード(NEXCO発行・関東通信事業協同組合経由) | 賦課金 1社 月500円(2年目以降は年6,000円一括)+NEXCOの取扱手数料629円/1枚(年1回) | 公式サイトに記載なし | 出資金1口10,000円+保証金(原則) | 約3週間 |
高速情報協同組合|複数台に発行するなら
「クレジット機能を必要としないETC専用のカード」と明記されており、発行手数料550円・取扱手数料550円と1枚あたりの費用が抑えられています。レンタカーを含めてどの車でも利用でき、ETCマイレージサービスにも対応します。給油専用の法人ガソリンカードも扱っており、ETCカードと併用しても出資金は1社1万円です。
ETC協同組合|早く使い始めたいなら
最短で翌営業日に発送と案内されています。「複数枚カードを発行しても1社/1万円で大丈夫です」と明記されているため、車両ごとにカードを分けたい会社でも入会費用は変わりません。給油用のTRUST&FLEXカード(全国約6,400店舗のアポロステーションで利用可)も扱っています。
KTK ETCカード|車両ごとの明細で管理したいなら
クレジット機能のない後払い方式のETC専用カードで、1か月のカード(車両)ごとの通行明細と、営業所ごとの合計表が出ると案内されています。車両や拠点ごとに高速代を管理したい会社に向きます。ETC車載器1台につき最大4枚まで発行でき、従業員の個人名義の車両でも法人カードとして使えます。マイレージポイントは最大約9.1%還元、平日朝夕割引(最大50%)などにも対応し、インボイス対応の請求書が発行されます。
ETCコーポレートカード|利用額が大きいなら
NEXCO3社が発行するカードで、大口・多頻度割引が適用される点が他と異なります。ETC2.0を使う事業用車両には、令和9年(2027年)3月末までの拡充措置で最大40%の割引率が設定されています。ただしNEXCO高速国道を1台あたり毎月3万円以上利用することなど、窓口の関東通信事業協同組合の公式サイトに発行条件が7項目明記されています。
ガソリンカードとの併用も検討する
クレジット機能なしのカードは高速料金にしか使えませんが、給油専用のカードを別に持てば、車両関連の主要な支出をカバーできます。
- 高速情報協同組合:全国約6,400店舗のアポロステーションで使える法人ガソリンカードを案内。カード手数料・年間手数料は無料で、ETCカードと併用しても出資金は1社1万円
- ETC協同組合:全国約6,400店舗のアポロステーションで使える「TRUST&FLEXカード」を案内。手数料・年会費・事務手数料は無料
どちらも出資金は1社あたりの金額なので、ETCとガソリンを同じ組合でまとめると入会費用を二重に負担せずに済みます。組合を分けると出資金もそれぞれ必要になる点に注意してください。
向いている会社・向かない会社
向いている会社
- 従業員に貸与するため、用途を高速料金に限定したい
- 社用車が複数台あり、車両ごとにカードを分けたい
- 法人クレジットカードの与信枠を他の支払いに使いたい
- 設立直後などで、クレジットカードの審査に不安がある
向かない会社
- 高速道路の利用額が大きく、走行料金への事務手数料が負担になる(1台あたり月3万円以上NEXCOを使うならETCコーポレートカードの検討を)
- ガソリン代や備品購入まで1枚のカードにまとめたい
- ポイント還元を重視している
- 入会時に出資金や保証金を預け入れたくない
費用や割引をより詳しく比較したい方は法人ETCカードおすすめ4選の比較記事を、発行できるかどうかが不安な方は「審査なし」の実態を解説した記事もあわせてご覧ください。
よくある質問
クレジット機能なしでもETCマイレージサービスは使えますか?
高速情報協同組合とETC協同組合の法人ETCカードは、マイレージを組合が登録・管理し「還元あり」と案内しています。KTK ETCカードもマイレージポイントの還元を案内しています。ETCコーポレートカードはETCマイレージに登録できません。理由と大口・多頻度割引との違いはETCコーポレートカードはETCマイレージ対象外で解説しています。
カードを複数枚作ると出資金も枚数分必要ですか?
必要ありません。ETC協同組合は「複数枚カードを発行しても1社/1万円で大丈夫です」と明記しています。枚数に応じて増えるのは、カード1枚あたりの発行手数料と年間手数料です。
レンタカーや社員の自家用車でも使えますか?
高速情報協同組合とETC協同組合は、レンタカーを含めてどの車でも利用できると案内しています。一方でETCコーポレートカードは、カードに表示された登録車両でしか使えず、登録する車両の使用者名義にも条件があります。
高速道路以外の支払いに使えますか?
使えません。クレジット機能がないため、ショッピングや給油には利用できません。給油をまとめたい場合は、同じ組合が扱う法人ガソリンカードの併用を検討してください。
出資金は必ず戻ってきますか?
高速情報協同組合とETC協同組合は脱退時に返金されると案内しています。ただし保証金の扱いは組合ごとに異なり、KTK ETCカードとETCコーポレートカードは金額の記載がありません。加入前に条件をご確認ください。
まとめ
- クレジット機能なしの法人ETCカードは、用途が高速道路料金に限定されるぶん、私的利用の防止や紛失時のリスク低減につながります
- 出資金は1社あたり1万円で、カードを複数枚発行しても増えません。ガソリンカードと併用しても同額と案内している組合があります
- 一方で走行料金に対して8%の事務手数料がかかる組合があり、利用額が大きいほど負担が増えます
- 1台あたりNEXCO高速国道を月3万円以上使うなら、大口・多頻度割引が使えるETCコーポレートカードも検討候補です
「年会費無料」ではなく、出資金・カード手数料・事務手数料を合わせた年間総額で比較することが、失敗しない選び方のポイントです。本記事の情報は2026年9月時点で各公式サイトに記載されている内容にもとづいています。条件は変更される場合がありますので、申し込み前に必ず公式サイトで最新情報をご確認ください。
