※本記事にはプロモーションが含まれます。
個人事業主の場合、法人と違ってプライベートのETCカードをそのまま仕事にも使えてしまいます。だからこそ「わざわざ事業用のETCカードを作る必要があるのか」と迷う方は少なくありません。
判断の分かれ目は確定申告の手間です。1枚のカードで仕事と私用が混ざると、明細から事業分だけを拾い出す作業が毎年発生します。事業専用のカードに分けておけば、利用明細がそのまま経費の記録になります。
この記事では、個人事業主が事業用ETCカードを持つ意味を整理したうえで、開業直後でも申し込める3枚を比較します。法人とは必要書類が違う点も、あわせて解説します。
プライベートのETCカードを仕事に使うと何が起きるか
個人名義のETCカードで仕事の移動も済ませると、月々の明細に仕事の高速料金と私用の帰省・旅行が混在します。
- 確定申告のたびに、明細から事業利用分だけを抜き出す作業が必要になる
- どの走行が仕事だったかを後から思い出せず、記録が曖昧になりやすい
- 私用分を含めて計上してしまうリスクが生まれる
事業用のカードを別に持てば、そのカードの利用明細がそのまま事業の高速料金の記録になります。仕分けの手間が消えるうえ、記録としても明確です。
高速代や出資金・事務手数料の勘定科目と仕訳の例は法人ETCカードの経費処理で解説しています。なお、経費として計上できる範囲や按分の考え方は個々の状況によって異なります。判断に迷う場合は税理士にご相談ください。
個人事業主が選べる2つのタイプ
①ビジネス用クレジットカードに付帯するETCカード
個人事業主向けのクレジットカードにETCカードを追加発行する方法です。高速料金以外の経費も1枚にまとめられる点が利点ですが、カード会社が支払い能力を確認するため、事業の実績や本人の信用情報が審査の対象になります。
②協同組合が発行する事業者向けETCカード
協同組合が高速料金を立て替え、組合員である事業者へ請求する仕組みです。クレジット機能は付かず、高速道路料金の支払いにしか使えません。クレジット審査なしで作れる2種類のカードの比較は個人事業主がクレジット審査なしで作れるETCカード2種類で解説しています。
用途が限定されるぶん、事業専用のカードとしては扱いやすいのが特徴です。私用に使いようがないため、明細が混ざる心配がありません。ETC協同組合は「自営業やフリーランスでも法人ETCカードを申請できますか?」という問いに「可能です。」と回答しています。
ただし個人としての申し込みはできません。ETC協同組合は「申込は、法人もしくは個人事業者の方に限ります」としており、高速情報協同組合も組合員を中小企業(原則として)と定めています。事業を営んでいることが前提です。
このほか、クレジットカードを持たずにデポジット(預け金)を預けて作るETCパーソナルカードもあります。協同組合型との年間負担の比較は個人事業主がクレジット審査なしで作れるETCカード2種類で、3つのルートの申し込み手順は個人事業主のETCカードの作り方で解説しています。
個人事業主の必要書類は法人と違う
ここが最も重要な違いです。法人は登記簿謄本で会社の存在を証明できますが、個人事業主に登記はありません。代わりに所得税の確定申告書で事業の実態を示します。
(2026年9月時点の各公式サイト記載の内容)
| 状況 | 事業を示す書類 |
|---|---|
| 確定申告を済ませている | 直近の確定申告書の控え(高速情報協同組合は所得税確定申告書) |
| 開業したばかりで申告実績がない | 開業届の写し。両組合とも、契約書類なども事業の確認書類として案内 |
| 共通して必要 | 車検証、ETC車載器セットアップ証明書(車載器の取り付け時に発行される書類)、代表者の運転免許証など本人確認書類 |
ETC協同組合は「開業して既に確定申告を行っている方は直近の確定申告書の控えをご準備ください」と案内し、まだ申告していない場合については「事業確認物として開業届や契約書類の写しなどで申請が可能です」と明記しています。
つまり開業から日が浅く、申告を一度もしていない段階でも申し込む道はあります。開業届の控えは大切に保管しておいてください。開業前・開業届の提出後など段階ごとの申込可否は創業直後でもETCカードは作れる?で解説しています。
個人事業主におすすめのETCカード3選
ここで取り上げる3枚を、費用と必要書類で比較します(2026年9月時点の各公式サイト記載の内容)。
| 発行元 | 個人事業主の必要書類 | カードの費用・会費 | 走行料金への手数料 | 発行までの期間 |
|---|---|---|---|---|
| 高速情報協同組合 | 所得税確定申告書(開業届でも可)・車検証・セットアップ証明書・代表者の運転免許証(いずれもコピー可) | 発行手数料550円+取扱手数料550円(年1回) | 8% | 書類到着後10日程度(申込ページでは最短翌営業日に発送と案内) |
| ETC協同組合 | 確定申告書の控え(未申告なら開業届や契約書類の写し)・車検証・セットアップ証明書・代表者の本人確認書類 | 発行手数料880円+年間手数料880円 | 8% | 最短で翌営業日に発送 |
| KTK ETCカード(関東通信事業協同組合) | 公式サイトに一覧の記載なし | 賦課金(組合の会費にあたる費用)1事業者 月500円(2年目以降は年6,000円) | 公式サイトに記載なし | 約3週間 |
いずれも入会時に出資金10,000円が必要です。高速情報協同組合とETC協同組合は脱退時に返金されると案内しており、KTK ETCカードはこれに加えて保証金の預け入れが原則必要とされています。
高速情報協同組合|費用を抑えたい方に
カード1枚あたりの費用は発行手数料550円・取扱手数料550円(年1回)で、ここで紹介する3枚のなかでは最も抑えられています。クレジット機能は付かず、レンタカーを含めどの車でも使えると案内されています。
個人事業主の必要書類は所得税確定申告書で、申告前なら開業届でも可と案内しています。ETCマイレージサービスにも対応しており、給油専用の法人ガソリンカードも扱っています。ETCカードとガソリンカードを併用しても出資金は1万円のままと案内されているため、車まわりの支払いをまとめて事業用に分けたい場合に向きます。
ETC協同組合|開業したばかりの方に
確定申告の実績がない場合の代替書類を、申込案内に具体的に書いている点が、開業直後の方にとって心強い特徴です。開業届のほか、契約書類の写しでも申請できると明記されています。
最短で翌営業日に発送と申込ページに明記されています。仕事が動き出していて、すぐにカードが必要な方に適しています。費用は発行手数料880円・年間手数料880円で、複数枚発行しても出資金は1万円のままです。
KTK ETCカード|これから開業する方に
申込対象に「2か月以内に開業・起業予定」が含まれている点が特徴です。開業前の段階から相談できるため、事業の立ち上げと並行してカードを準備したい場合の選択肢になります。
クレジット機能のない後払い方式で、マイレージポイントは最大約9.1%還元、インボイス対応の請求書が発行されます。ただし保証金の預け入れが原則必要とされており、金額は公式サイトに記載がありません。発行までは約3週間かかります。
開業からの年数で選び分ける
確定申告を数回済ませている
書類の面での制約はほとんどありません。カード1枚あたりの費用と、走行料金にかかる手数料の合計で選びましょう。年間の高速料金が読める段階であれば、総額を試算して比較できます。申し込みのルートと手順は個人事業主のETCカードの作り方で解説しています。
開業して1年未満・申告実績がない
開業届を出していれば、高速情報協同組合もETC協同組合も申し込めます。どちらも契約書類なども事業の確認書類として挙げており、高速情報協同組合は「開業届がない場合は一度お電話ください」と案内しています。開業届の控えを手元に用意してから問い合わせると話が早く進みます。
これから開業する
開業予定の段階を申込対象に含めているKTK ETCカード(2か月以内に開業予定)が選択肢になります。高速情報協同組合の申込フォームにも「1ヶ月以内に開業・起業予定」の区分があります。ただし車検証とETC車載器のセットアップが前提になるため、車両の準備状況とあわせて検討してください。
費用の構造をより詳しく比較したい方は法人ETCカードおすすめ4選の比較記事を、審査で何が確認されるのかを知りたい方は「審査なし」の実態を解説した記事もあわせてご覧ください。
走行料金にかかる手数料を見落とさない
高速情報協同組合とETC協同組合は、毎月の走行料金に対して8%の手数料がかかると公式サイトに記載しています。カードの年間費用が1,000円台でも、走行料金が増えればこちらの負担のほうが大きくなります。
- 月2万円の利用 → 手数料1,600円/月(年19,200円)
- 月5万円の利用 → 手数料4,000円/月(年48,000円)
- 月10万円の利用 → 手数料8,000円/月(年96,000円)
個人事業主の場合、法人ほど走行距離が多くないケースも珍しくありません。月の高速料金がいくらになるかを先に見積もってから、カードの費用と手数料を合わせた年間総額で判断してください。反対に1台でNEXCOの高速国道を月3万円以上走るなら、ETCコーポレートカードも候補です。個人事業主が申し込むときの注意点はETCコーポレートカードは個人事業主も作れるで解説しています。
よくある質問
フリーランスでも申し込めますか?
申し込めます。ETC協同組合は「自営業やフリーランスでも法人ETCカードを申請できますか?」という問いに「可能です。」と回答しています。ただし事業者であることが前提で、個人としての申し込みはできません。
確定申告をまだしていませんが作れますか?
作れます。高速情報協同組合は「開業届を出しているのであればそちらの写しで大丈夫です」と案内しています。ETC協同組合も「事業確認物として開業届や契約書類の写しなどで申請が可能です」と明記しています。申告実績がなくても、事業を営んでいることを示す書類があれば申し込めます。
自家用車でも使えますか?
高速情報協同組合とETC協同組合は、レンタカーを含めてどの車でも利用できると案内しています。個人事業主が自分の車を仕事に使う場合でも、車検証とETC車載器セットアップ証明書があれば申し込めます。
個人向けのETCカードと何が違いますか?
大きな違いは名義と用途です。事業者向けのカードは事業用として発行され、高速道路料金の支払いにしか使えません。私用と混ざらないため、利用明細をそのまま事業の記録として扱えます。
出資金は戻ってきますか?
高速情報協同組合とETC協同組合は、脱退時に返金されると案内しています。KTK ETCカードは出資金に加えて保証金の預け入れが原則必要とされていますが、金額の記載がないため申し込み時にご確認ください。
まとめ
- 事業用のETCカードに分けると、利用明細がそのまま事業の高速料金の記録になり、確定申告時の仕分けが不要になります
- 個人事業主の事業を示す書類は所得税の確定申告書。法人の登記簿謄本にあたるものです
- 申告実績がない場合は開業届や契約書類の写しで申請できると案内している組合があります
- 費用を抑えたいなら高速情報協同組合、開業直後ですぐ使いたいならETC協同組合、これから開業するならKTK ETCカードが候補です
- カードの年間費用より、走行料金にかかる8%の手数料のほうが負担は大きくなりがちです
本記事の情報は2026年9月時点で各公式サイトに記載されている内容にもとづいています。条件や費用は変更される場合がありますので、申し込み前に必ず公式サイトで最新情報をご確認ください。
