運送会社のETCカードおすすめ|トラックは車種区分と1台の月額で選ぶ

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運送会社がETCカードを選ぶとき、乗用車の社用車と同じ比べ方をすると見誤りやすくなります。トラックは同じ区間を走っても通行料が普通車より高く、1ナンバーの車は休日割引の対象になりません。カードの年会費や発行手数料の差よりも、通行料そのものにかかる割引や手数料の差のほうが、金額として大きく出ます。

結論からいうと、運送会社のETCカードはトラックの車種区分と、1台が1か月に走る高速代で決まります。大型車なら東京IC〜厚木IC(35km)を月8往復するだけで、割引前の通行料が1台3万円を超えます。こうした車が中心ならETCコーポレートカード、1台の高速代が月1万円台までの車が中心なら協同組合のETCカード、と分けるのが基本です。

この記事では、トラックの車種区分ごとの通行料の差、1台が月3万円に届く往復回数の目安、大型トラック1台の月額試算、運送会社が申し込む前に確かめること、走り方別に向くカードを解説します。乗用車やリース車が混ざった社用車全体の選び方は、社用車のETCカードおすすめ(車の持ち方別の選び方)で扱っています。

目次

トラックは車種区分で通行料が普通車の約1.2〜2.7倍になる

高速道路の通行料は、軽自動車等・普通車・中型車・大型車・特大車の5つの車種区分ごとに決まっています。NEXCO中日本が公開している東名高速道路の料金表で、東京ICから各ICまでの通常料金(ETC割引を含まない料金)を車種区分ごとに並べると次のとおりです。

東京ICから普通車中型車大型車特大車
厚木IC(35.0km)1,300円1,530円2,040円3,290円
沼津IC(103.3km)3,130円3,720円5,050円8,310円
静岡IC(161.8km)4,300円5,120円6,980円11,500円
浜松IC(230.0km)5,630円6,720円9,180円15,100円
出典:NEXCO中日本「高速道路簡易料金表」東名高速道路・新東名高速道路(料金表は2022年4月現在の表記。2026年11月時点で同社サイトに掲載されているもの)

普通車を1とすると、中型車は約1.2倍、大型車は約1.6倍、特大車は約2.7倍です。同じ配送ルートでも、4tや10tのトラックでは高速代が大きくなり、割引率の差や事務手数料の差もそれだけ金額として大きく出ます。

自社のトラックがどの区分かは車検証で確かめる

車種区分は、運転免許の区分ではなく、道路運送車両法上の自動車の種別をもとに決められています。NEXCO西日本のよくある質問では、貨物車の区分は次のように整理されています。

車種区分貨物車の例(単車)ナンバーの分類番号
軽自動車等軽貨物車4・5・6・7(黄地または黒地のプレート)
普通車小型貨物車(長さ4.7m・幅1.7m・高さ2.0m以下)4
中型車3車軸以下で、車両総重量8t未満かつ最大積載量5t未満の普通貨物車1
大型車3車軸以下で、車両総重量8t以上または最大積載量5t以上の普通貨物車/単体4車軸で車両制限令の限度以下のもの1
特大車単体4車軸で車両制限令の限度を超えるもの/単体5車軸以上1
出典:NEXCO西日本「よくあるご質問」(通行料金・車種区分)。トレーラーなどの連結車両は組み合わせで区分が変わります

注意したいのは、中型免許で運転できるトラックでも大型車の料金になる場合があることです。NEXCO西日本は、車両総重量8t以上11t未満、最大積載量5t以上6.5t未満の車両は「大型車」の料金区分になると案内しています。いわゆる増トンの4t車などは、免許の感覚で中型車と見積もると、高速代を少なく見込むことになります。料金所では車種区分を証明する「車種区分証明書」も発行されています。

トラック1台が月3万円に届く往復回数の目安

カード選びの分かれ目になるのが、1台あたり月3万円という金額です。ETCコーポレートカードの大口・多頻度割引(NEXCOの高速道路の利用額に応じて車1台ごとに割り引く制度)は、1台の月の利用額が3万円を超える部分の割引率がもっとも高くなります。関東通信事業協同組合(KTK)も、ETCコーポレートカードの発行条件に「NEXCO高速国道を1台あたり毎月3万円以上の利用」を挙げています。

上の料金表で、1台が月3万円以上になる往復回数を数えると次のとおりです。

東京ICから往復普通車中型車大型車特大車
厚木IC(往復70km)月12往復月10往復月8往復月5往復
沼津IC(往復207km)月5往復月5往復月3往復月2往復
静岡IC(往復324km)月4往復月3往復月3往復月2往復
通常料金(割引前)で計算。深夜割引などが付くと、支払う額はこれより少なくなります

普通車では週3回ほど近距離を往復してようやく届く金額に、大型車は週2回、特大車は週1回強で届きます。中距離・長距離の定期便を持つトラックなら、多くの車が1台3万円を超える側に入ります。逆に、市内の配送が中心で高速道路を使うのは月に数回という車は、トラックでも3万円に届きません。

大型トラック1台で比べると、月に約6万円の差が出ることもある

東京IC〜静岡ICを大型車で月10往復する場合を例に、カードの種類ごとの月の負担を計算します。通常料金は1往復13,960円、月139,600円です。深夜割引などの時間帯割引はないものとし、ETCコーポレートカードの契約単位割引(契約者全体の利用額が月500万円を超える場合の割引)も含めていません。

カードと車載器割引・手数料月の負担
ETCコーポレートカード+ETC2.0(事業用車両)大口・多頻度割引 −50,840円88,760円
ETCコーポレートカード+従来のETC車載器大口・多頻度割引 −37,380円102,220円
協同組合のETCカード(事務手数料8%の組合)事務手数料 +11,168円150,768円
大口・多頻度割引の率はNEXCOの公式サイト記載の段階適用で計算(2026年11月時点)

大口・多頻度割引は、1台の月の利用額のうち5千円までの部分は割引なし、5千円超〜1万円の部分は10%、1万円超〜3万円の部分は20%、3万円を超える部分は30%と、部分ごとに率をかけます。ETC2.0を使う事業用車両(車検証で事業用と区別された車)は各段階が10%上乗せされ、3万円を超える部分は40%になります。この上乗せは令和9年(2027年)3月末までの拡充措置です。

1ナンバーのトラックは休日割引の対象外のため、協同組合のETCカードで受けられる割引は、0時〜4時に走ったときの深夜割引や平日朝夕割引などに限られます。そこに走行料金の8%の事務手数料が加わるため、この例ではETCコーポレートカードとの差が1台で月6万円を超えます。ETCコーポレートカードにはこのほかに、カード1枚あたり年629円の取扱手数料や、窓口の組合の出資金・賦課金(組合の会費にあたる費用)、保証金がかかります。月額ごとの損益分岐はETCコーポレートカードはいくらから得か(月額別の負担額の計算)で解説しています。

運送会社が申し込む前に確かめる4つのこと

割引の大きさだけで決めると、運送会社ならではの使い方で困ることがあります。申し込む前に、次の4つを確かめておきます。

1. 過積載などの車両制限令違反で、割引が止まることがある

NEXCO3社の「ETCコーポレートカード利用案内書」は、NEXCO3社・本四高速・首都高速・阪神高速の道路で車両制限令(道路を通れる車の重さや大きさの上限を定めた政令)に違反し、24か月以内の累積点数が規定に達した場合などを、割引停止の対象に挙げています。過去1年以内に割引停止に相当する違反があると、新しく契約することもできません。

事業協同組合を通じて契約している場合、「カードの一部」の割引停止は、違反した車が所属する組合員のカード全部が対象になります。1台の違反で自社の全トラックの割引が止まりうるということです。停止の条件と期間は大口・多頻度割引の条件(契約できない場合と割引停止)で詳しく扱っています。

2. ETCコーポレートカードは車ごと、協同組合のカードは車を選ばない

ETCコーポレートカードは、カードに車両番号が表示された登録車両でしか使えません。登録できるのは、車検証の使用者欄(記載がなければ所有者欄)が契約者と同じ名義の車です。リースのトラックでも、使用者欄が自社なら登録の対象になります。同じトラックを複数のドライバーが運転して使うのは差し支えありませんが、ドライバーが別の車に乗り換えるときは、カードを持ち出さずに車ごとに管理します。

協同組合のETCカードは車を限定しません。高速情報協同組合は「名義に関係なくどのお車でも利用可能」、ETC協同組合は「レンタカー・カーシェアリング等限定なし」と案内しています。故障時の代車や、繁忙期に借りるレンタカーのトラックで使うカードを別に持っておくと、ETCコーポレートカードを登録車両以外で使ってしまう事態を防げます。

3. トラックの入れ替えが多いと、届け出と再発行が続く

ETCコーポレートカードは、登録車両を入れ替えるたびに登録車両入替届を出し、カードが再発行されます。再発行手数料は1枚629円です。車両の入れ替えや増車が頻繁な会社は、届け出の手間も見込んでおきます。手続きの流れはETCコーポレートカードの車両変更で解説しています。

4. 荷主に高速代を請求するなら、車両ごとの明細が取れるか

国土交通省の標準貨物自動車運送約款(最終改正 令和7年)は、運送申込書に記載する事項として、運賃・料金・燃料サーチャージとは別に「有料道路利用料」を挙げています。荷主に高速代を運賃と分けて請求するには、どの車がいつどの区間を通り、いくらかかったかを運行ごとに示せる明細が必要です。

ETCコーポレートカードは、ETC利用照会サービスで車両別に明細をCSVで取り出せます(手順はETC利用照会サービスを法人で使う方法)。KTK ETCカードは、カード(車両)ごとの通行明細と営業所ごとの合計表を出すと案内しています。ETC協同組合と高速情報協同組合はWeb明細を用意しています。明細の項目や出し方は組合ごとに違うため、荷主への請求に使う形で出せるかを申し込む前に問い合わせておくと安心です。

走り方別に向くカード

ここまでの内容をもとに、運送会社のよくある走り方ごとに向くカードを整理します。1台ごとに走り方が違う会社は、車ごとにカードを分けて組み合わせます。

(2026年11月時点の各公式サイト記載の内容)

走り方向くカード理由
中距離・長距離の定期便が中心で、1台の高速代が月3万円以上ETCコーポレートカード(KTK取次など)大口・多頻度割引の車両単位の率が最大30%(ETC2.0の事業用車両は令和9年3月末まで最大40%)。事務手数料8%がかからない
地場の配送が中心で、1台の高速代が月数千円〜1万円台協同組合のETCカードETCコーポレートカードの条件に届かない。車を限定せず、1台に最大4枚まで持てる
営業所が複数あり、車両ごと・営業所ごとに高速代を分けたいKTK ETCカードカード(車両)ごとの通行明細と営業所ごとの合計表。賦課金は1法人月500円で枚数によらない
代車・レンタカーのトラックにも使いたい協同組合のETCカードを1枚別に持つETCコーポレートカードは登録車両以外で使うと割引停止の対象になる

協同組合のETCカードの費用は組合ごとに違います。高速情報協同組合はカード手数料1枚550円(発行時)と年間手数料1枚550円、ETC協同組合はカード発行手数料1枚880円と年間手数料1枚880円で、どちらも走行料金に対して8%の事務手数料と出資金1万円(1社、脱退時返金)がかかります。KTK ETCカードは出資金1口1万円と賦課金がかかり、通行料総額に対してマイレージ還元手数料等がかかると案内していますが、その率は公式サイトに記載がありません。4枚の費用をまとめて比べるなら法人ETCカードおすすめ4選(費用の比較)が参考になります。

事業地区にも違いがあります。ETC協同組合の組合概要には、青森県・和歌山県・島根県・長崎県・宮崎県が事業地区として記載されていません。高速情報協同組合の事業地区は沖縄県を除く46都道府県です。本社や営業所がこれらの県にある運送会社は、申し込む前に組合へ確認してください。

ETCコーポレートカード(KTK取次)|月3万円以上走るトラックに

KTKはNEXCO3社が発行するETCコーポレートカードの申し込み窓口です。発行条件として、車両の使用者名義が法人または組合員代表者名義であること、ETC車載器を搭載していること、NEXCO高速国道を1台あたり毎月3万円以上利用することなどを挙げています。首都高速・阪神高速の利用が多い場合は、NEXCOの利用が3万円に満たなくても相談するよう案内しています。費用は出資金1口1万円、賦課金月500円(2年目以降は年額6,000円の一括払い)、保証金(原則。金額は公式サイトに記載がありません)で、発行まで約3週間です。

KTK ETCカード|営業所ごと・車両ごとに高速代を管理したい会社に

クレジット機能のない、法人向け後払い方式のETC専用カードです。ETC車載器1台につき最大4枚まで発行でき、従業員の個人名義の車両でも法人カードとして使えると案内しています。マイレージ還元は最大約9.1%、請求書はインボイスに対応しています。発行まで約3週間です。

ETC協同組合|代車用・近距離用のカードを早く用意したい会社に

「クレジット審査なし!」と案内している協同組合のETCカードです。登録車両1台につき最高4枚まで発行でき、レンタカーやカーシェアリングでも使えます。申込ページには、組合に書類が届いてから最短翌営業日に発送できると記載されています。2023年10月からインボイス対応の請求書を発行しています。

高速情報協同組合|1枚あたりの手数料を抑えたい会社に

カード手数料・年間手数料が1枚550円で、ETC協同組合(1枚880円)より1枚あたりの手数料が低い組合です。「クレジット審査なし」と明記し、カードは手渡しでも使えると案内しています。2023年10月利用分からインボイス対応の請求書を発行し、Web明細も用意しています。

運送会社のETCカードでよくある質問

2tトラックは休日割引を受けられますか?

ナンバーの分類番号で決まります。NEXCO中日本は、4ナンバーの車両は普通車以下のため休日割引の対象、1ナンバーの車両は中型車以上のため対象外と案内しています。同じ2tクラスでも、車体の大きさなどで1ナンバーになっている車は対象外です。車検証かナンバープレートで確かめてください。

協力会社(傭車)の車に、自社のETCカードを使わせてもよいですか?

ETCコーポレートカードは使わせられません。利用案内書は、カードを使える人を契約者とその使用人その他の従業者に限り、カードを表示された車両以外に使うことや、カード利用者以外に使わせることを割引停止の対象にしています。協同組合のETCカードについては、他社の車に貸すことの可否は各組合の公式サイトに記載がありません。協力会社の高速代は、協力会社のカードで払ってもらい実費で精算するのが確実です。

軽貨物(黒ナンバー)で開業した個人事業主は、どのカードを選べばよいですか?

軽貨物車は軽自動車等の区分で、通行料は普通車より安くなります。1台の高速代が月3万円に届くことは少ないため、多くの場合は協同組合のETCカードかETCパーソナルカードが候補です。個人事業主がクレジット審査なしで作れるカードの比較は個人事業主が審査なしで作れるETCカード2種類で扱っています。

まとめ

  • トラックの通行料は、普通車を1として中型車が約1.2倍、大型車が約1.6倍、特大車が約2.7倍です。区分は車検証で確かめ、中型免許で運転できる車でも大型車の料金になる場合があります
  • 大型車なら東京IC〜厚木ICを月8往復、静岡ICまでなら月3往復で、1台の高速代が月3万円に届きます
  • 1台が月3万円以上走るトラックはETCコーポレートカード、月1万円台までのトラックは協同組合のETCカードが基本です。大型車で月10往復する例では、月の負担に1台約6万円の差が出ます
  • ETCコーポレートカードは、車両制限令違反で割引が止まることがあり、組合経由なら自社の全カードが対象になりえます。代車や協力会社の車では使えません
  • 荷主に高速代を運賃と分けて請求するなら、車両ごとの明細を取れるカードを選びます

本記事の内容は2026年11月時点でNEXCO各社・国土交通省・各協同組合の公式サイトに記載されている情報をもとにしています。通行料・割引・手数料は変わることがあるため、手数料や条件は公式サイトで最新情報をご確認ください。

この記事を書いた人

法人ETCカードの費用構造と発行条件を、各発行元の公式サイトにあたって整理しています。年会費の表記だけでは見えない走行料金への手数料、出資金や保証金の扱い、必要書類の細かな違いなど、申し込み前に知っておきたい実務的な情報の提供を重視しています。掲載情報はすべて調査時点を明記し、条件変更を確認しだい記事を更新しています。

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