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建設会社の車は、現場へ向かう小型バンや軽トラック、土砂や資材を運ぶダンプ、重機を運ぶトレーラーと種類がばらばらです。行き先は工事ごとに変わり、社員が自分の車で現場へ直行することもあります。そのうえ高速代は、どの工事にかかった費用かを分けて集計しなければなりません。
結論からいうと、建設会社のETCカードは明細を現場ごとに振り分けられる持ち方ができるかと、車の種類で受けられる割引で選びます。小型バンや軽トラック、社員の車が中心なら、どの車でも使える協同組合のETCカードを車ごとに1枚ずつ持たせます。1台の高速代が毎月3万円を超えるダンプやトレーラーがあれば、その車だけETCコーポレートカードにする組み合わせが基本です。
この記事では、建設業の勘定科目で高速代がどこに入るか、現場ごとに分けるためのカードの持ち方3つ、車の種類で変わる割引、ダンプや重機運搬車で確かめること、会社の車の構成別に向くカード、申し込む前に確かめることを解説します。法人ETCカード全体の費用の比較は法人ETCカードおすすめ4選(費用と条件の比較)で扱っています。
建設会社の高速代は工事ごとの原価に入れる
建設業の決算書類(貸借対照表・損益計算書・完成工事原価報告書)で使う勘定科目は、国土交通省の告示で分類が決められています。この告示は、完成工事原価の「経費」を、完成工事について発生し、または負担すべき材料費・労務費・外注費以外の費用と定め、その例のひとつに「通信交通費」を挙げています。一方で、販売費及び一般管理費にも「通信交通費」(通信費、交通費及び旅費)の科目があります。
つまり、同じ高速代でも、何のために走ったかで入る区分が変わります。告示の分類に沿って整理すると次のとおりです。
| 走った目的 | 入る区分 | 例 |
|---|---|---|
| 引き渡し前の工事のため | 未成工事支出金(引き渡しを完了していない工事に要した工事費) | 施工中の現場への資材運搬、作業員の移動 |
| 完成した工事のため | 完成工事原価の経費(通信交通費) | 当期に引き渡した工事の現場への移動 |
| 工事に直接かからない用事 | 販売費及び一般管理費の通信交通費 | 得意先への営業、本社と支店の間の移動 |
高速代を工事ごとに分けるには、1回の通行ごとに「どの工事のために走ったか」が分からなければなりません。ETCカードの明細は通行ごとの日時・区間・金額をまとめたもので、現場名は載りません。現場名は作業日報などの社内の記録と突き合わせて付けることになり、その手間はカードの持ち方で大きく変わります。
実際にどの科目で処理するかは、自社の会計方針と顧問税理士に確認してください。カードの種類ごとの仕訳例は法人ETCカードの経費処理(勘定科目と仕訳例)で扱っています。
現場ごとに分けやすいカードの持ち方3つ
明細から現場を付ける方法は、カードを「車」「現場」「人」のどれに割り当てるかで決まります。建設会社で使いやすい持ち方は次の3つです。
| 持ち方 | 明細から現場を付ける方法 | 向く場面 | 使えるカード |
|---|---|---|---|
| 車1台にカード1枚を固定する | 明細を車両番号で作業日報と突き合わせる | 社用車で日ごとに違う現場へ行く | 協同組合のETCカード・ETCコーポレートカード |
| 工期の長い現場に車とカードを張り付ける | カード1枚分の明細をそのまま工事の費用にする | 数か月続く現場に専用の車を置く | 協同組合のETCカード・ETCコーポレートカード |
| 人にカードを持たせる | 明細を使用者で作業日報と突き合わせる | 社員の自家用車で現場へ直行・直帰する | 協同組合のETCカード(ETCコーポレートカードは不可) |
基本は車1台にカード1枚を固定する
カードを車に固定し、作業日報や運転日報に「日付・車両番号・現場名」を書いておけば、月末に明細を車両番号で日報と突き合わせるだけで現場に振り分けられます。1日に2つの現場を回った日は、明細の入口と出口のICで分けます。
協同組合のETCカードは、登録した車1台につき最大4枚まで作れます(ETC協同組合・高速情報協同組合は「登録車両1台につき、最高4枚」、KTKは「ETC車載器1台につき、最大4枚」)。車ごとに1枚ずつ持たせても、車の台数を超えない限り枚数の上限にはかかりません。
工期の長い現場には車とカードを張り付ける
数か月続く現場に専用の車を置くなら、その期間はカード1枚が1つの工事に対応します。明細のカード1枚分をそのまま工事の費用として集計でき、日報との突き合わせもいりません。現場が終わって車を別の現場に回すときは、どのカードをいつからどの現場に割り当てたかを台帳に書き換えておきます。台帳の項目は社用車のETCカード管理(台帳の項目と毎月やること)で扱っています。
社員の車で直行・直帰するなら人に持たせる
社員が自家用車で自宅から現場へ向かう場合は、カードを人に持たせることになります。協同組合のETCカードは登録した車以外でも使えます。高速情報協同組合は「名義に関係なくどのお車でも利用可能」、ETC協同組合は「レンタカー・カーシェアリング等限定なし」と案内しており、KTK ETCカードは登録車両以外の車で使った通行に請求書の通行明細で※印が付きます。現場で借りたレンタカーで使っても、どの通行が登録車両以外の分かを明細で見分けられます。
ETCコーポレートカードは、カードに表示された車でしか使えないため、この持ち方には向きません。
車の種類で受けられる割引が変わる
建設会社の車は、ナンバーの分類番号で高速道路の料金の車種区分が変わり、受けられる割引も変わります。特に休日割引は、中型車以上が対象外です。
| 建設会社の車の例 | ナンバー | 料金の車種区分 | 休日割引 | 深夜割引 |
|---|---|---|---|---|
| 軽トラック・軽バン | 黄色または黒のナンバー | 軽自動車等 | 対象 | 対象 |
| 小型貨物の大きさ(長さ4.7m・幅1.7m・高さ2.0m以下)のバン・小型トラック | 4ナンバー | 普通車 | 対象 | 対象 |
| 車両総重量8t未満かつ最大積載量5t未満のトラック・ダンプ | 1ナンバー | 中型車 | 対象外 | 対象 |
| 車両総重量8t以上または最大積載量5t以上のダンプ | 1ナンバー | 大型車 | 対象外 | 対象 |
| 重機を積むトレーラー | 1ナンバー | 連結の組み合わせで大型車・特大車 | 対象外 | 対象 |
中型免許で運転できるトラックでも、大型車の料金になる場合があります。車種区分ごとの通行料の差は運送会社のETCカードおすすめ(トラックの車種区分と通行料)で扱っています。
土曜に現場が動く会社は普通車・軽の休日割引が効く
休日割引は、土日祝日に地方部区間を走ると約30%割り引かれる制度です。NEXCO中日本は、4ナンバーの車両は普通車以下のため対象、1ナンバーの車両は中型車以上のため対象外と案内しています。土曜も現場が動く会社では、バンや軽トラックの土曜の通行が割引の対象になります。ただし、ゴールデンウイーク・お盆・年末年始・シルバーウイーク・3連休は適用されません。
協同組合の3枚はいずれも休日割引を案内しています。ETCコーポレートカードも、大口・多頻度割引と休日割引が重複して適用されます。
早朝に出る車は平日朝夕割引、夜間工事は深夜割引
朝6時〜9時に高速道路に乗って現場へ向かう車は、平日朝夕割引の時間帯と重なります。平日朝夕割引は、平日の6時〜9時と17時〜20時に地方部区間を走った回数が月5〜9回で約30%、10回以上で約50%を、地方部最大100km相当分について翌月20日に還元する制度です。大都市部区間は対象外です。NEXCO中日本は、ETCマイレージサービスに登録されたETCクレジットカードかETCパーソナルカードを条件としています。
協同組合の3枚はいずれも平日朝夕割引を案内しています。KTK ETCカードは還元を走行月の翌月20日と案内していますが、高速情報協同組合とETC協同組合は、還元が組合員の請求にどう反映されるかが公式サイトに記載がありません。申し込むときに組合に確かめてください。
道路工事などの夜間工事で0時〜4時に高速道路を走る車は、深夜割引(約30%)の対象です。深夜割引は全車種が対象で、1ナンバーのダンプでも受けられます。深夜割引と休日割引の両方の条件を満たす通行は、割引額の大きいほうだけが適用されます。カードの種類ごとに受けられる割引の一覧は法人が使える高速道路の割引4種類で扱っています。
ダンプ・重機運搬車は1台の月額と車両制限令で判断する
ダンプや重機を運ぶトレーラーは通行料が高く、1台の高速代が月3万円を超えやすい車です。たとえば大型車は東京IC〜厚木IC(35km)が通常料金2,040円で、月8往復すると32,640円になります。1台が毎月3万円以上走る車は、ETCコーポレートカードの大口・多頻度割引(NEXCOの高速道路の利用額に応じて車1台ごとに割り引く制度)が候補になります。
自家用のダンプはETC2.0の上乗せの対象にならない
大口・多頻度割引には、ETC2.0を使う事業用車両に10%を上乗せする拡充措置があります(令和9年(2027年)3月末まで)。ここでいう事業用車両は、車検証で自家用・事業用の別が「事業用」とされた車です。自社の土砂や資材を自社で運ぶダンプが自家用の登録なら、上乗せは受けられず、通常車両の率で計算します。
通常車両の率は、1か月の利用額のうち5千円を超え1万円までの部分が10%、1万円を超え3万円までの部分が20%、3万円を超える部分が30%です。5千円までの部分は割り引かれません。1台月4万円走る自家用のダンプなら、割引額は500円+4,000円+3,000円で月7,500円(約19%)です。現場が近くなって月の利用額が下がると割引も小さくなるため、工事の予定から1年を通した月額を見込んで判断します。月額ごとの損得の分かれ目はETCコーポレートカードはいくらから得?月額別に負担額を計算で扱っています。
重機を積んだ車は特殊車両の手続きと割引停止に注意
道路法には、道路を通れる車の重量と寸法の上限(一般的制限値)があります。国土交通省は、幅2.5m、高さ3.8m(指定道路は4.1m)、長さ12m、総重量20t(指定道路は25t)、軸重10t、輪荷重5t、最小回転半径12mを示し、どれか1つでも超える車は手続きが必要としています。代表的な特殊車両として、重機を積んだセミトレーラーやクレーンなどの建設機械も挙げています。手続きは「特殊車両通行確認制度」か「特殊車両通行許可制度」で行います。
ETCコーポレートカードは、発行の条件に車両制限令違反の照会への同意が含まれます。NEXCO3社・本四・首都・阪神の6社の道路での車両制限令違反の累積点数(24か月以内)が規定に達すると、割引が止まる措置の対象になります。重機の回送が多い会社は、特殊車両の手続きを済ませた車でだけ高速道路を使う運用を先に決めておきます。割引が止まる条件の全体は大口・多頻度割引の条件で扱っています。
会社の車の構成別に向くカード
ここまでの内容を、建設会社の車の構成ごとにまとめると次のとおりです。
| 会社の車の構成 | 向くカード | 理由 |
|---|---|---|
| バンや軽トラックが中心で、社員の車で直行することもある | 協同組合のETCカード | 登録した車以外でも使え、車ごと・人ごとのどちらの持ち方もできる |
| 支店・営業所が複数あり、拠点ごとに高速代を集計したい | KTK ETCカード | 営業所ごとの合計表を発行すると案内している |
| 毎日高速道路を走るダンプ・トレーラーがある | その車だけETCコーポレートカード+残りは協同組合のETCカード | 1台月3万円以上なら大口・多頻度割引が効き、その他の車はどの車でも使えるカードで足りる |
| 一人親方など個人事業主として働いている | 協同組合のETCカードかETCパーソナルカード | 個人事業主も申し込める。比較は個人事業主が審査なしで作れるETCカード2種類へ |
候補になる4枚のカードについて、建設会社の使い方に関わる項目を並べると次のとおりです。(2026年11月時点の各公式サイト記載の内容)
| カード | 登録した車以外での利用 | 明細・請求 | 主な費用 |
|---|---|---|---|
| 高速情報協同組合 | 可(名義に関係なくどの車でも) | WEB明細(楽楽明細)。インボイス対応の請求書 | 出資金1万円/1社、カード手数料550円/1枚(発行時のみ)、年間手数料550円/1枚、事務手数料は走行料金の8% |
| ETC協同組合 | 可(レンタカー・カーシェアリング等限定なし) | Web明細。インボイス対応の請求書 | 出資金1万円/1社、カード発行手数料880円/1枚、年間手数料880円/1枚、事務手数料は走行料金の8% |
| KTK ETCカード | 可(明細の通行ごとに※印) | 日時・入口出口の記載、営業所ごとの合計表。インボイス対応の請求書 | 出資金1口1万円、賦課金(組合の会費にあたる費用)月500円(2年目以降は年6,000円)、保証金(原則。金額の記載なし)、マイレージ還元手数料等(率の記載なし) |
| ETCコーポレートカード(KTK取次) | 不可(カードに表示された車のみ) | カードが車1台ごとのため、カードごとの明細がそのまま車ごとの明細になる。ETC利用照会サービスの対象 | 出資金1口1万円、賦課金月500円、保証金(原則)、NEXCOの取扱手数料1枚629円、データ管理料(金額の記載なし) |
高速情報協同組合とETC協同組合は、Web明細がカードごとに分かれて表示されるかが公式サイトに記載がありません。車ごとに集計したい場合は、申し込む前に組合に確かめてください。ETC利用照会サービスで明細をCSVで取り出す手順はETC利用照会サービスを法人で使うには?IDの分け方とCSVで車両別に集計する手順で扱っています。
バンや軽トラック、社員の車が中心で、どの車でも使えるカードを車ごとにそろえたい場合は、協同組合のETCカードが候補です。
支店や営業所ごとに高速代をまとめたい場合は、営業所ごとの合計表を案内しているKTK ETCカードが候補です。
1台が毎月3万円以上走るダンプやトレーラーがある場合は、その車をETCコーポレートカードにすることを検討します。
申し込む前に建設会社として確かめること
月額利用予定額は工事の予定から見積もる
協同組合の申込フォームでは、3組合とも業種・月額利用予定額・必要カード枚数を入力します。高速情報協同組合の申込フォームは主業種の選択肢に「建設・不動産業」があり、ETC協同組合とKTKは業種を記入する形です。建設会社の高速代は現場の場所で大きく変わるため、月額利用予定額は直近の実績だけでなく、受注している工事の現場の場所から見積もります。ETC協同組合は、利用限度額の「上限の設定は特段ございません」としたうえで、申し込み時の利用金額より大幅に多い場合は組合から連絡すると案内しています。
現場や人が増えたときの追加の手続き
新しい現場が始まって車や作業員が増えたら、カードを追加します。高速情報協同組合のETCカード追加申請書は、追加理由(車両増車・従業員増員・その他)と追加希望枚数を書き、車検証とセットアップ証明書の写しを付けて出す形で、届くまで1週間程度かかると案内しています。ETC協同組合もETCカード追加申請書を公式サイトで配布しています。工事の着工日が決まったら、早めに追加を申し込みます。
協力会社や一人親方に自社のカードを使わせない
ETCコーポレートカードは、カード利用者以外に使わせることが割引を止める措置の対象です。協同組合のETCカードを他社の車や人に使わせてよいかは、各組合の公式サイトに記載がありません。協力会社や一人親方の高速代は、それぞれのカードで払ってもらい、請求書で工事ごとに実費を精算するほうが、どの工事の費用かも請求書で分かります。協力会社の車での利用については運送会社のETCカードおすすめのよくある質問でも扱っています。
インボイスの書類をそろえやすいか
協同組合の3組合は、いずれもインボイス対応の請求書を発行していると案内しています。高速代を工事原価に入れる場合も、仕入税額控除のための書類は必要です。保存のしかたはETCカードのインボイスは利用証明書を全件保存?で扱っています。
よくある質問
現場ごとにカードを分けて作れますか?
協同組合のETCカードは、登録した車1台につき最大4枚までです。カードの枚数の上限は車の台数で決まるため、現場の数だけカードを作るのではなく、車ごとに1枚ずつ持たせて日報で現場を付けるのが現実的です。工期の長い現場に車を張り付けるなら、その車のカードが実質的にその現場のカードになります。
4ナンバーの小型ダンプは休日割引を受けられますか?
NEXCO中日本は、4ナンバーの車両は普通車以下のため休日割引の対象と案内しています。同じ2tクラスのダンプでも、1ナンバーで登録されている車は中型車以上のため対象外です。車検証かナンバープレートで確かめてください。
まとめ
- 国土交通省の告示では、完成工事原価の「経費」に通信交通費が含まれます。工事のために走った高速代は工事ごとに、営業や本社の用事は販売費及び一般管理費に分けて集計します
- ETCカードの明細には現場名が載らないため、カードを車1台に1枚固定し、作業日報の車両番号と現場名で突き合わせるのが基本です
- 社員の車やレンタカーで現場へ行くなら、登録した車以外でも使える協同組合のETCカードを人に持たせます。ETCコーポレートカードは表示された車でしか使えません
- 休日割引は4ナンバー・軽の車が対象で、1ナンバーのダンプは対象外です。夜間工事の0時〜4時の通行は全車種が深夜割引の対象です
- 1台が毎月3万円以上走るダンプ・トレーラーだけETCコーポレートカードを検討します。自家用のダンプはETC2.0の上乗せの対象にならず、重機の回送では車両制限令違反で割引が止まることがあります
本記事の内容は2026年11月時点で国土交通省・NEXCO各社・各協同組合の公式サイトに記載されている情報をもとにしています。通行料・割引・手数料は変わることがあるため、手数料や条件は公式サイトで最新情報をご確認ください。勘定科目の区分は、自社の会計方針と顧問税理士にご確認ください。